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2013-07-29 (Mon)


1937年、RKO主演6作目。
アステアとは旧知の仲だったガーシュインとの共作がようやく実現したのがこの作品。
ガーシュインとはボードビル時代に知り合い、いつか一緒に仕事ができるといいねと言い合った仲だったとか。
全然知りませんでした。


パリで活躍するバレエダンサー・ペトロフ(アステア)は、ロシア人のフリをしたアメリカ人。
同じパリで活躍するミュージカル女優のリンダ(ジンジャー)の写真を見て一目惚れ。
一方リンダはショービジネスの世界にウンザリし、アメリカに帰って結婚しようとしていた。
リンダのアメリカ帰りを聞きつけたペトロフは同じ船に乗船、彼女と親しくなることに成功するが、ちょっとした誤解から二人が実は夫婦であるというゴシップが広まってしまう…。


アステアがバレエダンサーという設定が相当可笑しい。
わざとバレエっぽい型で踊るシーンはほとんどネタのようにしか見えません。
バレエの人、怒ったりしなかったかしら?(^_^;)



タップダンスを始めた理由の、とても大きな動機として、劇団四季の“Crazy For You” が大好きだったというコトがあります。
『踊らん哉』は“Crazy For You”(以下CFY)の元ネタというか、ここから使われてるナンバーも。
ちなみにCFYはこんな感じのミュージカル。


大好きな四季の荒川務さんが主役だった時の映像。
私のアイドル。実際の荒川さんも元アイドル(^_^;)







CFYファンとしては、やはり“Slap the Bass”とか、嬉しいナンバーです。
ボイラー室の機械と踊るアステアはユーモアたっぷり。





個人的に大好きだったのはこのジンジャーとのペアナンバー。
“They All Laughed”は作詞のアイラ・ガーシュインが長らく温めていたコトバだったそうです。
印象的なのは、ジンジャーのドレス。ダリア柄?
この頃は社会情勢から、映画の検閲が厳しくなっていたそうで、露出の高い衣装などはダメだったようです。
そこから生まれた衣装なのかもしれませんが、何とも可愛らしい衣装は曲にとても合っている気がします。






ペアで踊るもう一曲は、なんとローラースケートで踊る“Let's Call The Whole Thing Off”.
撮影は大変だったらしいのですが、終わる頃にすっかりスケートがうまくなったジンジャーは、参加者全員スケート着用必須のパーティを開き、話題になったとか。

これまた個人的思い入れでは、私も出演した東京リズムボーイズ20周年公演で、リズムボーイズが替え歌で歌ってたのが印象的だったなぁ。
♪僕らはコンビでも ぜんぶ正反対~ (^皿^)

それはさておき、随所に新しいアイディアを持ってくるアステアの開拓精神は本当に見事です。
私が小学生の頃、ローラースケートで踊る某アイドルに夢中になったものですが、あるいは影響を与えてるのかもしれませんね。






ダンスはないけど、名シーン。
“They Can't Take That Away From Me”はRKOが目新しさを狙って歌だけにしたらしいのですが、結果としてアカデミー最優秀主題歌賞にノミネートしたものの、入賞を逃したそうです。
ガーシュイン兄弟はダンスがなかったせいだと思って不満だったとか。
とはいえ、このシーンはやはりとても印象的。
後にこの曲はアステアの「持ち歌」とされるようになりますが、それもうなずけます。
こんなに粋な歌詞の別れの歌は、ちょっと思いつかない。
それを聴いて涙するジンジャー、それにつられて思わず泣きそうになってしまいます。




そしてやはりこれでしょう。


この、最後の“Shall We Dance~They All Laughed”のあたりの繋ぎが最高にワクワクする。
ミュージカル映画も好きだけど、リアルミュージカルも大好きな私。
こういうレビューのシーンは、やはりウキウキしてしまうのです。





ちなみに、この映画の名脇役はウォルター(ジンジャーの飼い犬)だと思う。


この仔。

昔の犬って、トリミングがあんまり発達してないのか、モシャモシャでカワイイ。
アステアの映画には度々動物が出てきますが、どの仔もかなりの名優です(^^)


全体的にプロットもまとまってるし、曲も文句なく良いし、RKO時代の中ではマイベスト3に入ります。
しかし、興行成績は伸び悩み…そろそろコンビも黄昏の時代に入っていくのです。
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| フレッド・アステア | COM(0) | TB(0) |
2013-07-24 (Wed)


1933年、MGM制作。
アステアがフィルムデビューしたことで知られるこの作品。
当時のMGMの看板女優、ジョーン・クロフォードと、クラーク・ゲーブル主演。
アステアは本人役で登場して、ジョーンの相手役としてショーのシーンで踊るのみです。


アステアは、この頃からやはりアステアでした。
漂うエレガンスが他の俳優と明らかに違います。
でも、まだまだフィルムの中では男の色気たっぷりのクラーク・ゲーブルの存在感には敵いません。当たり前か。


場末のショーガールのジェイニー(ジョーン・クロフォード)は金持ちの投資家トッド(フランチョット・トーン)に見初められ、彼からの資金援助や紹介で名演出家のパッチ(クラーク・ゲーブル)の舞台に出るチャンスを得る。
パッチはジェイニーを「金持ちの愛人」と思い冷たく当たるが、彼女の才能とダンスへの情熱に次第に心動かされていく。
一方トッドは、ダンスにますます熱を上げるジェイニーと結婚するために、ある手段を講じるのだが…



以下、ネタバレ含みますので、未見の方はご注意を。




アステアのデビュー作ということで観ましたが、まあやはりアステアはちょい役。
でも、ダンスの華麗さはすでにありました。

記念すべき映画初登場シーン。



さて、この映画はジョーン・クロフォードがダンスの才能があるという設定ですが、この人のダンスはこの映画の中ではあまり良さが伝わらない。
ダンスは上手い女優さんらしいのですが、活かされていないようで…。

トッドがジェイニーと結婚するためにとる手段というのが、金で興行主からショーを買取って中止にしてしまうというやり方で、これが本当にアタマに来てしまった。
昔はきっと、興行主の気分ひとつで公演中止なんてよくある話だったんでしょうし、実際パッチのセリフにもそういうニュアンスがあります。
そうなんだろうけど、やっぱりヒドイ
大した脚本でもないのに、バッチリ感情移入してしまいました…

結局事実が発覚、パッチが私財を投じて行ったショーにジェイニーも無理やり出演、成功し、パッチとも結ばれめでたしめでたし。
…っていっても、この結ばれ方はちょっと唐突感あるなあ。
何というか、全体的に出演者の持ち味がうまく活かしきれずに、中途半端な感じが否めない。


…でも、この作品はどちらかというと、色々な意味で「資料価値」があるので、やはり観ておいて良かったです。
そして、芸能も女心も、カネでは買えないということはうまく表現できているので、まあそれも良かったかと。
そう、カネじゃ買えないんだよね、心は。
特に芸事に身を捧げてる人間の心は、芸への情熱でしか動かせないから。
…厄介なもんだ
| フレッド・アステア | COM(0) | TB(0) |
2013-07-05 (Fri)


1936年、RKO主演5作目。
音楽はジェローム・カーン。
原題は“Swing Time”ですが、これはスイングジャズそのもののことというよりも、“Swing”が当時の流行語のようなものだったようです。
エリントンの「スイングしなけりゃ意味ないね」でこの言葉が大流行したそうな。
そういえば“Bossa Nova”もそんな感じでしたね。かなり後の時代のことですけど。
確か冷蔵庫の名前にすらされたのだ、Bossa Nova。


ダンサーのラッキー(アステア)は、ダンサーとしての未来を諦め、マーガレット(ベティ・ファーネス)と結婚しようとするも、同僚のダンサーたちに邪魔されて結婚式に大遅刻。
激怒した花嫁の父から「2万5千ドル稼ぐまで結婚を許さない」と言われ、一攫千金を狙い、ニューヨークへ。
そこで偶然出会ったダンス教師のペニー(ジンジャー)と知り合い、ダンスのパートナーとなりつつ恋が芽生えるが、婚約中のラッキーはペニーとの恋を進められず…。


ダンサーかつギャンブラーのアステアが、少ない元手から賭けに勝ち続けながら成功していく物語は、まさに『有頂天時代』というタイトルにピッタリ。
なかなか見ていて痛快な展開です。
個人的にはプロットもそんなに悪くはないと思う。
いつもは自信満々で口説くアステアが、自制心のためにしどろもどろしたり、それにやきもきして拗ねるジンジャーは可愛らしくて、ちょっとキュンとするお話でした。




二人がはじめて踊る“Pick Yourself Up”はダンススクールという設定の中で踊るため、ジンジャーの衣装は地味ですが、サラッと踊ってる感じが何んとも小気味よくていいのです。
こんな風にペアダンスを踊るのは「夢」かもしれません…ちょっと叶わないかもしれませんが(泣)





この曲は今ではとインストでやることが多いような気がする。
“The Way You Look Tonight” はジャズメッセンジャーズがかなり速いテンポで演奏してた印象があり、まさかこんな曲とは思ってなかったのでした。
こんなロマンティックな歌だったのですね。
歌に聴き惚れて、シャンプー中なのを忘れてアステアの元に出てきてしまうジンジャーが最高にカワイイのです。






この作品の中で一番の胸キュンシーンはこちら。
いるよね~、こういうオトコ
妙に感情移入してしまったのは置いといて、まあジンジャーの可愛らしいこと!
でも、珍しく二人とも歌うのに踊らないのです。
ジェローム・カーンはこの演出、不満だったらしいです。
私も、不満です(笑)。
雪の中で踊ったら、きれいなのにね。






ダンスナンバーの見せ場はやはりこの“Bojangles of Harlem”でしょう。
ボードビル時代にタップを習ったMr.Bojangleに敬意を表して、唯一の黒塗りナンバーと言われてます。
シルエットと踊るさまは、演出としてもなかなか面白いし、こういうスイングそのもののリズムは当時流行っていたようです。
音が安っぽいエレピなのも、当時の最先端だったのかしら…。テクノ的な。
これは今となっては生ピアノの方が良かったなぁ。まあ時代ですかね。
ちなみに踊りのスタイルは全然ボージャングルっぽくない…まあアステアですから、当然といえば当然か。





そして、この映画で最も美しく悲しいナンバー。
“Never Gonna Dance” は、お互い想いあっているのに、それぞれ別のパートナーの元に離ればなれになっていこうとする二人が最後に踊るナンバー。
「君以外の人とはもう踊らないから もう二度と踊らない シルクハットも燕尾服も捨ててしまおう」という歌詞はあまりに切ない。
このナンバーはリハでアステアの完璧主義ゆえに47テイク撮られ、終わる頃にはジンジャーの足は靴擦れのために血だらけになっていたとか。
階段を登ったり、移動範囲が広くて大変だったようです。
でも、その成果というか、このナンバーを観た時の、胸がギュッと掴まれるような切なさってすごいと思う。
映像はナマのオーラの半分以下になってしまうとはよく言うけれど、もし現場で見ることが出来ていたらどんなだったんだろう。




ちなみにこの映画、ジェローム・カーンの前にヴィンセント・ユーマンズに音楽の依頼が行っていたらしいのですが、ギャラが高すぎてチャラになり、次に話が来たのがジェローム・カーンなのだそうです。
ジャズシンガー必携の村尾陸男さん著の「ジャズ詩大全」によれば、当時はラテンリズムのムーブメントが起き始めており、その辺に冴えを見せていたユーマンズに依頼をしたのではないか、ということらしい。
で、ラテンとまでは言わなくても、「新しいリズムを何か」というRKO側の要求により、例えば“Bojangles of Harlem”などの楽曲が生まれたものの、ちょっと音楽が弱いという印象は拭えなかったため、それが興行収入にも響いたのでは?という見方もあるようです。

実際このコンビにしては興行成績が伸びず、コンビの将来に翳りが出てきたという評判になってしまったのだそう。
アステアとしてはジンジャーとの抱き合わせ販売に焦りを感じ、ジンジャーは演技派女優としてのキャリアを積み始めていた頃。
この辺りから二人の思惑が交錯し始め、コンビ後期に向かいます。
| フレッド・アステア | COM(0) | TB(0) |
2013-07-03 (Wed)


1936年、RKOでの4作目。
アステア&ロジャースのコンビを全面に押し出さず、もうひと組のカップルと撮ったはずの映画ですが、ポスター見る限り思いっきり看板じゃないですか。あらまあ。

水兵のベイク(アステア)は元ダンサー。
かつてコンビを組んでいたシェリー(ジンジャー)にプロポーズを断わられたが、未だ忘れられない。
一方、高級クラブシンガーとして順調に見えるシェリーもまたベイクを忘れられずにいた。
海軍の一時上陸許可で、シェリーのいるサンフランシスコのクラブにやってきたベイクは彼女と再会し、お互い心を通わせるも、急な出航で中途半端に。
一方、同じクラブではシェリーの姉・コニー(ハリエット・ヒリヤード)とベイクの同僚のビルジ(ランドルフ・スコット)が出会い…。


どちらかといえばランドルフ&ハリエットの恋模様にスポットが当たったプロットだけど、カップルというよりはジンジャー&ハリエットの姉妹を目立たせたい感じがみられます。
ハリエット・ヒリアードという人は当時の人気歌手だそうで、彼女がピンで歌うシーンも2場面ありますが、役どころの地味な音楽教師を全うしたかのか、大変地味なテイクです。うーん。

この作品の頃はRKOのドル箱コンビになったアステア=ロジャースにどれだけ稼がせようとするかという制作の思惑と、コンビで売ることに用心深くなったアステア、ステージママでかなりの権限を持ち始めていたジンジャーのママ、この三者の攻防が作品に現れてきています。
燕尾服で踊るアステアは人気がありましたが、それに観客が飽きることを恐れた制作側が、今回の「水兵」という設定を用意したものの、結局人気が出たのは劇中劇でアステアが燕尾服で踊るナンバーだったそうな。
でも、私はセーラーシャツで踊る“I'd rather lead the Band” が一番好きかもしれない。



途中から水平がワラワラ出てきて、彼らに踏ませるビートに合わせて踊るアカペラがカッコいい!
アステアの粋な要素の一つに、バシッと決めつつもコミカルな要素がスパイスのように散りばめられているところがあると思うのですが、これはまさにそんな感じ。






ちなみに、バシッと決めた方では、やはりこのジンジャーとのフィナーレ “Let's face the music and dance” でしょう。
このナンバーは『トップ・ハット』に引き続き、ジンジャーの衣装でトラブルが起こったそうで。
ビーズとスパンコールが豪華なジンジャーのドレスは、袖がベルスリーブになっているのだけど、総スパンの袖は回転などの時に思いきり振られ、凶器となってアステアの頬や顎を直撃!
意識が朦朧としながらのテイクとなったらしいです…怖っ。
衣装って、本当に注意が必要ですよね、いやはや。
スパンコールとか落ちると滑るしね。
その上にタップシューズで乗っちゃったら…と思うと他人事ではありませぬ。
でも、まったくそんな風に見えないのは、さすがのプロ根性ですね~。

この曲、もともとハリエット・ヒリヤードの役が『ロバータ』のアイリーン・ダンの予定で、彼女向けに考えられていたらしいです。
ところが、アイリーンが人気のためスケジュールが押さえられず、代わりにキャスティングされたハリエットだと声が細くて曲が合わない…ということで、アステアが歌うことになったようで。
アーヴィング・バーリンという作曲家は、ピアノはろくに弾けないし、音楽理論もまるでなかったらしいのですが、神がかった曲を書く人で、この曲も確か構成が56小節だったかな?
サイズが半端なのです。
しかもマイナーからメジャーへの転調があったりして、かなり凝った構成。
というわけで、スタンダードとしてはギリギリ知ってる人もいるものの、歌ってるのは少ないかもしれない。
アニタ・オデイがガンガンに歌ってたり、ダイアナ・クラールはボサノヴァにしてたりしたけど、アステアの歌も結構苦労がみられるし、インスト向きかもしれません。
でも、踊るには美しく、ドラマティックな曲。編曲もまた見事です。






フレッド&ジンジャーのデュオで、もうひとつ。
ナイトクラブのダンスコンテストという場面。
設定が設定だけに、多彩なステップは、まるでステップの見本帳のよう。
ブロードウェイ、ボンバーシェイ、トラベリング…いやはや、勉強になります(笑)
ダンスのスキルを見せつけるナンバーだけに、これでもか!な踊りがさすがです。
だんだんテンポが上がるオケの編曲もまたエグくてよろし。






あと、特筆すべきは珍しいジンジャーのソロ。
オーディションという設定なので、細かいステップがたくさん。
私の苦手なステップもたくさん…(~_~;)
ジンジャーもちょっと大変そうですが、頑張ってます!
これ、いつか振り起こししてみたい。
自分の練習曲としてすごく良さそうな。
ニガテなドローバックス系のステップの練習になりそう(笑)
最後の決めポーズが可愛いのです。






あと、驚いたのはこのシーン。
アステアがピアノのチューニングをしたあと(しかしチューニング前の音の狂い方はあり得ないw )、華麗にストライドピアノを弾き始めます。
リズムの悪い並のピアニストなんか目じゃない。
さすがボードビル芸人上がりのアステア、芸の幅が広いです。






そういえば。
始めにナイトクラブで歌うこのシーン、途中からコーラスガールが加わって絶妙なカウンターメロディでハモりはじめます。
きっとこういう雰囲気がモータウンとかの感じに繋がってくんでしょうね。
コーラスって楽しそうだな、やってみたいな。(でも人間関係が大変そうだ…(~_~;)





ストーリーはイマイチだけど、アーヴィング・バーリンの音楽にかなり助けられてる感が強い作品。
そして、作品を追うごとに可愛く、キレイになっていくジンジャー。
冒頭、アステアと再会するシーン、涙ぐむジンジャーは本当にかわいい。
ちなみに、その返しで“I miss you ,too…little bit.”とアステアが言うのですが、この“little bit”がまたいいんだ、これが。
思いっきり引きずってるくせに、「僕も会いたかったよ…少しはね」とカッコつけるのがね~。


作品としては散漫な印象ではありますが、それなりに楽しませてくれます。
プロットの弱さは否めませんが、もうここまでくると、アステアとジンジャーが好きなら、まあ観て損はないかと思います。
| フレッド・アステア | COM(0) | TB(0) |
2013-06-29 (Sat)


1935年、アステア主演3作目。
『コンチネンタル』の成功に味をしめた製作陣が、ほとんど二番煎じ的に企画したのがこの作品。
登場人物のキャスティングも、ストーリーも、ぼんやりと観ていると『コンチネンタル』と混ざってしまうくらい似ているのです。
特に脚本は酷い(笑)。
このことにアステアはたいそう文句を言ったらしく、結果音楽とダンスナンバーは歴史に残る出来になったものの、作品としては散漫な印象でもあります。

またしてもアステア扮するのは、ダンサーのジュリー。
マヌカンのデイル(ジンジャー・ロジャース)に一目惚れするも、冷たくあしらわれ。
策を講じて土砂降りの中、二人きりになることに成功、ダンスで心を通わせるが、滞在していたホテルでジュリーのことを、同行者のホーレス(エドワード・エヴァレット・ホートン)と勘違いしたことから話がややこしくなり…。


脚本の稚拙さに対して、アーヴィング・バーリンの曲は名曲揃い。
“No Strings”
“Isn't this a Lovely day”
“Top hat,White Tie and Tails”
“Cheek to Cheek”…

特に“Cheek to Cheek”はアステア&ロジャースのコンビを象徴するナンバーだそうです。
ただ、衣装の羽の件でアステアはかなり文句を言ったらしく(踊りながらどんどん羽が抜けて、アステアの口や鼻に入り、とても踊れたもんじゃなかったらしい)、もしかしたらこのエピソードと一緒に有名になったのかもしれない。
羽って抜けますよね…確かに。




どのナンバーも素敵ですが、個人的には“Top hat,White Tie and Tails”がやはり思い入れがある。
一連のアステア作品を見る前に「フレッド・アステアのすべて」というドキュメンタリーを見たのだけど、そこではじめに紹介されたのがこのナンバー。
いや、もう度肝を抜かれたというか。
ズラリと並ぶ燕尾服のダンサー、中央のアステアはまさに“THE”アステア的に歌い踊る。
いや、もう、文句のつけようもない。
このシーンは劇中劇で、歌とストーリーは全く関係ないんだけど、この曲を入れるためにアステアがシナリオを作り変えさせたそうな。
それだけ魅力的なこの曲、スタンダードとしては知名度が低い。
エラが歌ってるのは結構有名な気がしますが。あとはメル・トーメくらいか。

この曲の前奏とCメロに使われる印象的な半音下降系のメロディー。
これ、歌手泣かせですわ…(*_*)
ジョビンもよく使うこのパターン、「バラに降る雨」とか「Estrada do Sol」とかにも出てくるアレですが、ピッチ取るのが本当に難しいのですよ。
気を確かに持ってないと、あっという間にoff key(つまりオンチ)になってしまう。
アステア、サラッと歌うんですよね~…いやはや、サスガデゴザイマス。




あと、“No Strings”の歌い出しにはゾクッと来ました。
セリフから滑らかにつながる歌い出し、
何度観ても鮮やかな繋ぎにウットリする。
いやはや、歌ってこうやって歌うのですね。もはや既に名人芸!
ここの歌い出しにチャプター付けたいくらいです。




あとは、土砂降りの中雨宿りしながらジンジャーと踊る“Isn't This a Lovely Day”はジンジャーのツンデレっぷりが可愛くて。
アステアのステップを真似するところから始まるけど、ただ真似するんじゃなくて、いかにも女性らしく踊るところがなんとも可愛いのだ。
これも、曲が先に出来てて、シナリオをあとから合わせて作ったそうな。
雨の曲といえば「雨に唄えば」が有名だけど、これも捨てがたいな~。



プロダクションナンバーの“Piccollino”は、制作側からの要求でバーリンが仕方なく作ったらしい。
制作側の「フィナーレには豪華な群舞」というステレオタイプな考え方がアステアは嫌だったらしく、バーリンのこの曲も気に入らず、止むを得ずジンジャーが歌ってます。
確かに曲も『コンチネンタル』を意識しすぎの「わかりやすく異国情緒あふれたメロディーとリズム」を多用していて(リズムはハバネラだしね)、バーリンらしくない。
でも、これはこれでヒットしたらしいです。
まあ、わかりやすいから。
2人の踊りはさすがの優雅さだけど、まあ新鮮味はさほどありません。豪華だけど。





よくよく観直してみて気づいたのだけど、この作品、『ロバータ』に引き続きファッション界の話が絡んでます。

まず、ジンジャー扮するデイルはモデル。
彼女はデザイナーのベリーニの専属で、彼から経済的支援を受けながら優雅な暮らしをしている。
ベリーニはデイルに気があるが、デイルは「私たちはビジネスの関係よ」と突っぱねている…。

この辺のプロット、うっかりしてると、「男の気を弄びつつ貢がせてる高慢ちきな女」に見えてしまうが、そうではない。
オート・クチュール全盛の1930年代、各メゾンには「マヌカン・メゾン」と呼ばれる専属モデルがおり、まさに「生きたマネキン」として顧客の来店時にフィッティングモデルとして服を見せる役割をしていたのです。
中でもメゾンのトップモデルは、外出時もそのメゾンの服を纏い、夜はデザイナーに同行して社交場に行き、生きた広告塔として振舞ったとか。
当然社交界できちんと認知されるには、美貌だけでなく、相応しい知性や教養も必要で、「綺麗なら誰でもなれる」というようなものではなかったのです。

おそらくジンジャーの役は「メゾン・ベリーニ」のトップマヌカン。
だからこそプライドも高く、乗馬もこなし、彼女が纏えばその服はたちまち評判になるような、特別な存在だったのでしょう。
そう思うと、デイルが「男なんてみんな信用出来ない!」というセリフが、なんだか違うものに聞こえてくる。
さぞかし言い寄る男も多かろう立場、そこでイメージを崩さずに気高く振舞うのは結構な労力。
現代の芸能人のようなものでしょうね…。


古い映画というのは、時代背景を加味して観ると、また違ってみえてくるものなんですね。
ブログを書きながら、新たな発見です。
しばらくこの作業、続けて行こうと思います!
| フレッド・アステア | COM(0) | TB(0) |
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